電気つまり電力を作り出すコストは近年変動率が大きく
国や地域の治安や経済の変動によりコストは大きく変動しています。
ウクライナとロシアの紛争、イスラエルとパレスチナやイランにおける対立
コロナパンデミックによる経済の変動、世界経済のブロック経済の動き
電力を調達するコストは目まぐるしく変動しています。企業は活動するうえで
多くの電力を必要としています。
近年は、半導体需要が成長することが見込まれています。これからも半導体による
処理量は増えていくことでしょう。また、世界の企業やあらゆる機関はデジタル化を
進めており、DX化が企業の価値に影響を与える時代です。
これまで以上に作業効率は求められます。効率が停滞すれば企業や機関また
あらゆる組織は競争力をなくしていくでしょう。
近年は、エヌビディアの株価が高くなり注目を集めています。
高速の半導体では多くの電力を必要とします。
デジタル技術を使い、データーセンターを保有している会社にとっては
電力を大量に調達する必要性は高まっています。
電力量の確保と同時にコストを考えてこれから調達するために
発電方法も大切な内容になるのでしょう。
マイクロソフト・グーグル・アマゾンが「原発」に投資しまくる事情
生成AIの飛躍的な成長に伴い、データセンターの電力需要が急増している。それを見据えて投資に動いているのが、グーグルやマイクロソフト、アマゾンといった米ビッグテック企業だ。ここ最近、彼らが注力しているのが「原子力」である。マイクロソフトは、かつて深刻な事故が起きたスリーマイル島の原子力発電所を再稼働させる計画を発表し、一部の関係者を驚かせた。このまま日本は、世界的なAI競争で取り残されてしまうのだろうか。 【詳細な図や写真】図2:日本のエネルギー供給量は減少傾向にある
AIやデータセンターなどで電力需要がひっ迫
ChatGPTなどに代表される生成AI。世界を変える技術として期待を集めているが、膨大な電力を必要とすることも明らかになっている。こうした中、マイクロソフト、グーグル、アマゾンといったビッグテック企業がこぞって取り組むのが「原子力」だ。 日本を含む先進国では、この数十年、新たな原子力施設への投資はほとんど行われてこなかった。しかし、最近では米テック大手が、今後、長期間にわたり大量のエネルギーを安定して確保するため、原子力エネルギーへの投資を発表している。 ゴールドマンサックスが2024年4月28日に発表したレポート『AIと電力:データセンターとこれからの米国の電力需要の急増』によると、2023年から2030年にかけて、データセンターの電力需要は年平均15%の成長率で増加し、2030年までにデータセンターの電力消費は2020年の水準と比べて3倍以上に達すると指摘されている(図1)。 AIの普及による電力消費の急増が、データセンターの成長を一層加速させる。AIサーバは従来のサーバに比べて6倍から10倍の電力を消費するとされており、これが電力需要の急速な増加に拍車をかけている。たとえば、ChatGPTの検索クエリは従来のGoogle検索と比べて約10倍の電力を消費するとされている。この傾向が続けば、データセンターの電力需要は2030年までに2.4倍に増加する可能性がある(同レポートより)
日本のエネルギー供給量、緩やかに減少中
過去10年間、米国の電力需要はほぼ0%の成長率で推移していたわけだが、これは日本の電力需要も同様である。電気事業連合会「日本の電力消費」に掲載された『一次エネルギーに占める電力の比率』を確認しても、2005年をピークに、日本のエネルギー供給量は増えておらず、むしろ緩やかに減少傾向にあることが見て取れる(図2)。 これをもって新電力は不要と考えるのは早計で、先のゴールドマン・サックスのレポートで示されているように、データセンターや生成AIによる電力需要が本格化するのはむしろこれから。AIが今後の経済成長の原動力となるのは、米国だけでなく、先進国や日本でも同様であり、そのためにエネルギーの安定確保が必要不可欠なのである。 たとえば、千葉県印西市に、三菱商事が50%出資する合弁会社が建設した「NRT12データセンター」の総受電容量は約3万kWだが、今後国内で建設予定の大型データセンターは、数十万kWから最大100万kWが必要とされている。これは、山梨県全体の電力需要に匹敵する。 このような設備の建設に伴い、電力需要の増加が見込まれている一方で、原発の再稼働は進まず、政府が進める再生可能エネルギーの主力化によって、安定した低コストの電力供給が困難になれば、日本は失われた30年を取り戻すチャンス、あるいはAI覇権を他国に譲らざるを得なくなるだろう。 歴史を振り返れば、日本が戦争に突き進んだ一因は「石油不足」であった。大戦前、日本は約8割の石油を米国から輸入している、資源に乏しく、資源調達先も極端な国だった。 この反省から、戦後は原子力発電の活用が進んだが、東日本大震災を経た後、再エネを推進、原子力発電の活用は後退し、現在もエネルギー自給率は約10%にとどまり、化石燃料の大部分を海外からの輸入に依存している状況は変わっていない。 東日本大震災から13年が経過した今でも、国内で再稼働している原発は、9月時点で全36基(廃炉が決定した12基を除く)のうち、12基(すべてPWR型)に過ぎず、大半の原発が稼働していないのが現状だ。
グーグル、マイクロソフト、アマゾンで異なる活用法
では、今後の日本の原子力発電はどのように進むべきだろうか。冒頭に述べたグーグル、マイクロソフト、アマゾンは、それぞれやや異なるアプローチで原子力を活用しようとしている。 まず、グーグルは、AIの利用拡大に伴う電力需要を満たすため、小型モジュール式原子炉(SMR)からエネルギーを購入する世界初の契約を結んだ。 カリフォルニア州のカイロス・パワー社に、6~7基のSMRを発注し、最初の原子炉は2030年までに、残りは2035年までに完成する予定だ。 SMRは新しい技術で、まだほとんどテストされていないが、従来の大規模な原子力発電所とは異なり、コンパクトで必要なインフラが少なく、運転や安全管理がしやすいとされている。 たとえば、一部のSMRは、大型原子炉に比べて発熱量が非常に少ないため、2011年の福島原発や1986年のチェルノブイリ原発のような事故を引き起こした機械的故障の影響を受けにくい「受動的」冷却システムを利用できる(米メディアVOA、10月15日) グーグルの取引で注目されるのは、従来の原子力発電所ではなく、次世代型原子炉に焦点を当てている点だ。SMRのサイズは従来の原子炉の約1/10から1/4であり、その小型化とモジュール設計によって、より安価で建設や立地が容易になると考えられている(米メディアTheVerge、10月15日) ここで頻出する「モジュール式」とは、システムや装置全体を、あらかじめ決められた規格に基づいて製造された「モジュール(部品)」を組み合わせて構築する方式を指す。 各モジュールは独立して機能でき、必要に応じて追加や交換が容易であるため、建設や導入が効率的かつ迅速になり、コスト削減にもつながるメリットがある。
マイクロソフトは「事故が起きた」島で原発再稼働
一方、マイクロソフトは、米国のエネルギー企業であるコンステレーション社と契約し、ペンシルベニア州のスリーマイル島にある停止中の原子力発電所を再稼働させる計画を発表した(発表したのはコンステレーション社)。 コンステレーション社は、同州ミドルタウン近くのスリーマイル島1号炉を2028年に再稼働させる予定で、マイクロソフトは今後20年間にわたって、ここから得た電力で自社のデータセンターを運営するという。 スリーマイル島はご存じのように、1979年3月に米国で最も深刻な原子力事故が発生した場所である。この事故では、冷却用の水が故障したバルブから漏れ出し、2号機が過熱して大規模な放射能漏れが起こった。事故から45年が経過しているが、これは日本で福島の原発を再稼働させるような大胆な決断といえるだろう。 このように、グーグルが小型モジュール式原子炉(SMR)への投資を発表し、マイクロソフトが原発再稼働を進める中、アマゾンはタレン・エナジー社のペンシルベニア州にある原子力施設の隣にデータセンターを共同設置する契約を締結している。 SMRの技術開発にはまだ課題が残っており、原発再稼働の初雑な手続きを必要としないこの「お手軽」で「現実的」な方法論は、投資家から称賛を受けていた。 しかしアマゾンは、お手軽な発電方法だけでは電力が不足すると判断したようだ。10月16日に新たにSMRへの5億ドル(約750億円)超の投資を発表した。 ただ、SMRは小型とはいえ、稼働までに時間がかかる。最も早いオハイオ州とペンシルベニア州のSMRでさえ、運転開始は2029年とされる。こうした中でも「2030 年代初頭から始まる太平洋岸北西部の予測されるエネルギー需要を満たすのに役立つ」(アマゾン発表)と指摘するように、これからを見据えて投資に動く大手ハイテク企業の動きを見れば、日本が進むべき方向も自然と見えてくるだろう。
生活と安全を支えるエネルギーとは何か
2011年3月の福島第一原子力発電所の事故を受け、2012年に電力の全面自由化が始まって以降、電力需要の不透明さから電源への投資予見性が低下し、新規電源開発への投資が進みにくい状況が続いている。 これを受けて今年度から新たに、電力の「供給能力」に対して報酬を与える制度が導入されたが、この方法であっても発電所建設にかかる建設費や金利の上昇に伴う追加コストの回収が難しく、依然として新設が進まない可能性は高い。 我が国の産業と国民の生活を支えるために、安定的かつクリーンで競争力のあるエネルギーは何か、日本に残された選択肢は多くないが、国全体で真剣に議論を行うべきだろう。