不動産の価格が話題になっています。
それは、東京の都心のマンション価格の高騰です。
新築や中古マンションの平均売買価格が1億円を超えたのです。
一般的な労働者が買えなくなっているのです。
しかし、それ以外は多少は値上がりしているものもありますが、そこまでではなく
都心のマンションが異常に高くなっているのです。
原因としては、海外の投資マネー、国内の投資マネーと言われています。
しかし、海外の不動産市場は、東京に比べても割高なようなので、
まだまだ、高くなる予想です。
日本の不動産は、このような流れの他におそらく、全くその影響を受けない
市場が増えると言われています。それが郊外に存在している、高度成長時代に
建設された一戸建て、つまり郊外のニュータウンに建設された一戸建て住宅です。
その要因は日本社会の人口ボリュームゾーンにおいて、最も多くを占めている
団塊世代です。彼らは高度経済を支えていた世代です。日本において第二次世界大戦
終了し生まれた世代です。その世代が、これから順次なくなりその子どもに
住んでいた住宅が相続されるのです。その一戸建てが、自分の子供には必要とされずに
住宅市場に多く売りに出される予定なのです。団塊世代の子供の世代はすでに
自分たちの住宅は保有しているので、親の住宅は必要なくなっているために
市場に大量に売りに出る予定なのです。すでにその兆候は社会に影響を与えてきているようです。あと十年後の社会的な住宅の価値は大きな変化となって来るのでしょう。
住宅のエリアによって値段のつくにくい現象が、極端にはマイナスになる可能性
まで考えられています。
「タダでも手放せない」という現実、不動産を持つことは「リスク」になりつつある
もはや売り手は買い手を選べない時代に
2024.10.25
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筆者は、1970年~80年代に投機目的で購入され、バブル崩壊後、そまま放置された「限界ニュータウン」の調査を行ってきました。
千葉県北東部の物件情報や価格を集中的に調べ始めてから、今年でおよそ8年になります。
それは決して「知る人ぞ知る裏情報」というものではなく、記録や統計を取っているわけでもない、あくまで筆者の記憶の中にあるものにすぎません。
そもそも物件情報を調べ始めたのは、あくまで自分の住まいを探すためのもので、その情報収集の結果を何かの形で発表したり、考察したりする機会を想定もしていませんでした。
売主の希望が色濃く反映される物件価格が、どれも実勢相場を正確に反映しているとも言い難いので、数多く物件情報を見ているからと言って、そこから得られる知見は何もありません。
ただひとつ確実に言えるのは、低価格帯の物件を取り扱う業者が、数年前と比較しても明らかに増えている、ということです。
不動産がタダでもらえる時代
私事ですが、筆者は若いころから田舎の物件というものに関心がありました。20代の頃には、長野県某村の空き家バンクを利用して、借地上に建つ古民家に無償で住んだりした経験もあります。
特に古民家建築に関心が高かったというわけではありません。当時は空き家バンク制度自体もまだ一部の自治体でしか行われていなかったうえ、インターネット上で得られる情報も限られていました。
筆者のようなエンドユーザーが格安の物件情報に接する機会がなかったので、ほとんど選択の余地がなかったのです。
無償譲渡で募集していた古家はいずれも、かなりの覚悟がなければ使えない代物ばかりでした。
10年以上前の話を振り返るまでもなく、筆者が千葉県で物件を探し始めたころでも、家屋はもちろん、更地が0円で広告に出されているところは見たことがありませんでした。
分譲地に限って言えば、坪1万円を下回れば実勢相場、という感覚を長く持っていました。
ところが現在は「負動産」や「0円物件」という言葉がしばしばメディアを賑わせています。人口減が進む小都市の物件が、ほぼ無償に近い価格で取引される事例はまったく珍しくありません。
筆者が長野県の小村の空き家バンクに初めて問い合わせたのは2006年でしたが、おそらく現在であれば、わざわざ地縁もない遠い小村に問い合わせることはなかったと思います。
「0円でも手放せない」という現実
現在筆者が暮らしている千葉県の横芝光町でも、近年は0円の更地を見ることは決して珍しくなくなりました。
たとえばこの記事を掲載している楽待の物件情報でも、築古の中古住宅が数十万円という価格で複数売りに出されています。
もちろん、大掛かりな補修を行わなければとても住めないような老朽化した家もありますが、昨日まで普通に人が暮らしていたと言われても疑問に思わない程度には状態の良い物件でも、利便性の低いエリアや、気候条件が厳しい豪雪地帯や寒冷地などは、かなりの低価格になっています。
0円で流通するということは、つまり、その地域の市場がそれだけ衰退しているということに他ならないので、当然そのような不動産を取得するのには相応のリスクが生じます。
今はまだ、多くの人が住む都市部においては不動産は高価なものなので、0円という言葉のインパクトもあってか、たびたびメディアでも紹介され、多くの0円物件に多数の申し込みが入り、抽選となるほどの活況を呈しています。
しかしこれはあくまで、「建物がある0円物件」に限った話で、更地の0円物件、山林や農地など、未経験の素人が使用するには法的にも費用的にもハードルが高いような不動産は、すでに0円での譲渡も難しく、手放すのに手間や根気が必要になるものが増えてきました。
0円物件は、登記費用や不動産取得税は別として、購入者にとっては確かに無償で不動産を手にできるものです。
一方で、手放す側は0円で手放しているわけではありません。確かにある程度不動産の知識があれば、個人売買サイトを駆使して、手数料などが一切発生しない方法で負動産を手放すことはできます。
しかしそれも、すべての不動産で順調に話が進むわけではありません。
直接的に費用負担が発生するものではなくても、その物件を撮影したり、売買サイトに掲載したり、引き取り希望者と折衝を重ねたりする手間暇を掛けても、最終的には金銭的な見返りもないまま無償で手放すということなので、引き渡しまでにかけたコストはすべて赤字になります。
0円物件を取得する側の方は、負動産を手放す手段として「0円物件」という存在を知っているからこそ利用していますが、相続などで負動産を抱えてしまった人は、今なおそうした手段にまったくアクセスできない状態の人が少なくありません。
私が買った「0円物件」の話
筆者はこれまで、千葉県横芝光町の自宅の周辺の分譲地で、30坪の土地を合計3区画引き取っています。
1区画は無条件で無償、もう1区画は未了だった相続登記の費用をこちらで肩代わりするという条件で無償、残りの1区画は5万円で購入したのですが、これは土地代というよりは謝礼の意味でお渡ししたものです。
いずれも分譲当初から一度も建物が建てられたことがない更地で、1つ目と2つ目の2区画の所有者は相続で取得し、5万円で購入した区画は、前所有者自身が過去に投資目的で購入したものでした。
いずれの所有者にも共通していたのは、毎年の固定資産税が発生し、使う予定もまったくないので不要だとは思いつつも、手放す術もわからず長年所有し続けていたことです。
筆者はそれぞれ前所有者に自分からコンタクトを試みて、話し合いのうえ引き取ることになったものですが、筆者は最初から何が何でも0円で入手しようと考えていたわけではありません。
売地として出てこないので自分から連絡を試みただけで、もし一般のポータルサイトに、これらの土地が5~10万円程度の価格で出てきたとしたら、仲介手数料を支払ってでもそちらの手段で購入していたと思います。
直接交渉は徒労に終わることも少なくなく、相手の都合を考えても、できれば避けたい手段のひとつです。
そのような低価格の不動産を扱う業者は限られていますし、遠方在住で、自分が所有する土地を長年見てもいない方、相続したが一度も見に行ったこともないという方は、まず自分の土地の市場価格を正確につかむことすら困難です。数少ない取扱業者を自力で見つけるほど、不動産に強い関心があるわけではありません。
ですので、固定資産税も含めたトータルで考えれば、3人とも明らかに赤字で手放しているのですが、そのことに不快感を示すわけでもなく、逆に感謝の言葉をいただくほどでした。
こうした、所有者側が不動産を手放すまでの情報収集や手間にかかるコストを手数料として受け取る代わりに、所有権を引き取るサービスも登場しています。
こちらのビジネスもまだ市場規模が小さいので、一部の業者はその手数料の算出基準が著しく不透明であったり、また管理費などを要するマンションや別荘などを有償で引き取ったのちは、一切管理費も支払わず踏み倒し続けるなど、トラブルも耳にはします。
ただ、0円、あるいは限りなく0円に近い価格で手放さざるを得ない負動産が増えている以上、こうしたサービスの登場は必然とも言えます。
筆者も基本的には物件情報を見て買う側の立場なので、0円物件の市場の拡大は個人的にも非常に興味深い事象です。
ただ、0円物件の裾野が広がるということは、逆に売主=手放す側にとってますます条件が厳しくなるということでもあります。
価格は同じ0円にせざるを得ないのに、競合相手ばかり増えていくのでは、条件の悪い物件の出口はますます狭まっていき、その分手間や費用を掛けて手放す必要に迫られるということです。
もはや売り手は買い手を選べない
今年(2024年)の7月には、宅地建物取引業者の報酬規程が改正され、800万円以下の低価格帯での不動産取引に際しては、買主側の仲介手数料の上限が33万円(税込)まで引き上げられました。
これまでは、手数料の安さが低価格物件の流動性の悪さの一因となっていたことは疑いようもなく、実際、低価格帯の物件広告は備考欄にこの改正後の仲介手数料が明記してあるものを見かけることが多くなりました。
しかし、改正前からすでに実勢価格が5万円、10万円程度にしかならなかった物件について、それに手数料として33万円が上乗せされれば、不動産そのものの市場価格が上がっていない以上、ますます物件の訴求力が低下し売却が困難になります。
それでも手放したいと考えた場合、売主側が、本来買主側が支払う仲介手数料に相当する金銭を負担するか、あるいはその仲介手数料分を含めた額を業者に支払って引き取ってもらうか、ということになります。
よく考えるまでもなく当然の話かもしれませんが、0円物件の増加というのは、つまりそれだけ売買市場が衰退しているエリアが広がっているということです。
そして最も影響が大きいのは、そのエリアに不動産を所有している方ということになります。
もともとそういうエリアでは、物件価格を決める最大の要因は、地域の相場よりも所有者個人の事情だったりするものですが、そのままではまず買い手がつかないと思われる価格で長期間広告が出されている売物件というものは多数見かけられます。
不動産を所有するというのはコストが掛かるもので、「売る側が買い手を選べるような時代ではない」という共通認識が、いよいよ必要になってきたかなと個人的には思います。
◇
不動産の流動性が低下すれば、地域の活力は失われます。
多くの自治体が対策を急いでいますが、こうした「価格のつかない負動産」を念頭に置いて制定された法制度は多くなく、手段は限られているのが実情です。
一方で、所有者が物件の需要や実勢価格、流動性を正確に捉えておらず、本来流通できたはずの不動産が死蔵されているケースも見られます(逆に、不誠実な業者に言いくるめられて不当に安く手放す羽目になっている事例もあります)。
昨今はいよいよ、不動産を所有するリスクというものが顕在化してきたな、という感想を抱いています。
(吉川祐介)